虎いちもんめ
桜の木の下で
二列に並ぶ
虎たち、口々に
「あいつが
欲しい」
「欲しいじゃ
判らん」
「あいつを
食おう」
「そうしよう
今すぐ食おう」
見ると、虎たちの中央に
ひとりの女
女は一振りの刀を
差していた
そして
女は男言葉で口許、開く
「ほぅ……貴様ら如きに
俺の首が取れるか……
我の首をば
取ってみよ!」
言い放たれるや
虎たちは女に殺到した
うっすらと
女は笑みを浮かべ
迅雷より早く!
瞬く間に!
虎たちは
討ち取られ
花と化し
散っていった
23/03/21 18:21更新 /
木内のり
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