ポエム
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ひととせを急かす針
時計は止まらないまま私のなかの時間だけが止まっている

─十二ヶ月の愛



針は私を刺してその痛みで急かす
責め立てるようにこう言う─早く諦めなさい

うららかの影を見ないふりの投薬治療に
刹那 愛を見た
私の優しさが人を救うと思っていた
付け上がった思い違いではなくて
例えば目の前のあなたさえ
私の言葉にその傷を癒されてくれているのだと…思っていた。



アカシジアと共に落雷。
雨の止まない、湿気の教室に居た君はもう
感傷の水を抜け出している
五感がきちんと働かないなか
第六感だけがようやく息をしていた
アカシジアと共に落雷。
小さな毒の水槽に、稲妻が走る



ペトリコールはノイズを踏んだ。
空から落ちたわたしの心
雨になって打ち弾けろ
ゆびで作る銃が メルヘンに光った
ココロを膨張させた アナタを許せないわ 許せないの
こんなにも 過去に憑かれた わたしの事 許せない



命の重さを理解しないことは罪なのだろうか
涙を流さないことは罪なのだろうか
昔の傷跡を掻き毟って 掻き毟って 掻き毟って……
もうなにもそこには残らないのに
もうなにもそこから進まないのに
ねえ どうしてなの 時計が壊れない
あたしの部屋のカレンダーは
あなたといたあの年のまま
助けてよ 連れ出してよ この月の裏の陰鬱から
路地裏でひそかに芽生えた
白いワンピースのあの子のおさげが揺れる
じんじんと響く蝉の音
駆け足の秋が来る 空っぽの秋が来る




ふんわりと巻いたマフラーに顔をうずめると、
たちまち世界のスイッチが切り替わり、
あの喧しい夕焼けから、静かに降り積る夜の雪。
しんしんしんしん、ゆきふりつもる。
しんしんしんしん、耳鳴りがする。
夜の星空、大声の波。
身を投げて、やがては、岩礁に打ち付けるからだ、膨れる。
両手を広げた。手は、もうかじかんでる。
この手を、包み込んで愛してよ。
少し離れた場所で、猫がにゃんと鳴く。
きみはわたしよりも、もっともっと強いね。




助けて、足を進めて
伸ばす手は眠りに誘う

さようなら、愛しい季節よ
そっと口付けをして ロッカーに鍵をかけた








20/05/04 01:02更新 / ヨルノアサヒ



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