ポエム
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鏡肚らに立ち竦くんだ



あたしは鏡がきらい

それはあたしの肉相をなにひとつ
服つろうとはせず正直に
あたし自身のまえに映し出す
なにも習正も美飾もしようとはせず
ご機嫌取りもおべっか使いをしよう
ともしない淡白さだ
だからいつまで経っても厭らい
憎んですらいる 怨んで祟ってすらいる
すこしは気を廻えよ鏡
なんて失礼な奴
社会生活では時に過剰な気配りや
忖度なんかも不可欠なもの
そんなこともできないなんて
生活の一員失格よ アンタなんて!

母は鏡の中には嫁神が棲どってる
といって掌を合せて崇がめる
でもそんなのは盲信で迷信だ
その証拠に何を語りかけても
なにもアンタは應えてこない
ただ愚直に現実を唆めしてくるだけの
愚昧さだ 恥知らず!

あたしはじつはそんなに見た目が
醜るいこだとは自身をおもっていない
ただきわめて凡つうだ
目がおおぶりでお茶目な印象ある
だが鏡中の自身をミルとき
その虫もころさなそうな純朴さと
ニクのウチにある病み 黒黒とした
醜悪なドブ貯まりとのギャップに
あまりに見た目と懸け離れた自分の
魂の悍ましさ 汚濁と穢れを知って
あたしは30秒に1度落胆と絶望の
地べたに組敷かれ叩きつけられ
四肢を付いて這い蹲り落涙する
こんなのは理想とする星浄なあたし
と違う あまりにも違いすぎる
鏡はそれを自分に突き付け晒し
問い詰める 拷問する これ以上ない悪


私は残酷で冷酷な鏡より映画フィルム
のほうが好き
理想のじぶんを母体にした
夢だけ魅せてくれるもの 偽りの虚寓
娶通おり
だから判別し決断した

ファッションデザイナーじゃなく
ヴァーチャルムウビディレクターに
なるんだ 当代生粋の才能を有したね
それが
今の最新のあたしのデザイアーなのです


23/08/12 06:01更新 / OTOMEDA



談話室

■作者メッセージ




かがみが映し出す自身の腹なかは
はらからも存ず 膨虚な冥いはらっぱ。
喇叭だけがずっとえいえん響ってるよ。


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