ポエム
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刹那的な、恒久的な

吐き気がするほどメランコリック





愛しいあの子は荷物まとめて消えてった


捻じれ曲がって剥がれた壁の雑なペンキ、
去りかける夏の足首をひっ掴んだ
ドブと腐った肉の臭い、蔓延る
愛しいあの子は50メートル先に
そこから見える空には排気ガスが立ち込めていて
どうせ星まで届きやしない
朝が嫌いだったのも子供の頃だけの話でしょ
ここに来れば嫌でも膝をついて陽を拝むから
湿気と共に割れた灰色のコンクリートに
背骨が生えて血が流れる


愛しいあの子は荷物まとめて消えてった

どうせここからは飛べないから
ページの破れた絵本を、何度も

何度も何度も、開いてなぞった。



―――――――



穴あき傘のおさげガール生意気口が止まらない。
「盲目、愛無し、万年補欠で滑ってやんの」
タイヤに跳ねる泥水かぶったメガネは、くもりながら奥にどろどろ殺意をため込んでいたのも僕だけに分かった。
吐き気がするほどメランコリック。
地団駄踏んで笑う、ひひひ。
能なしの口たたきと使い捨てコンタクト。
レバーそんなに好きじゃない。
足取り重く解体新書、
なあ、おい、絆創膏くれよ。


愛が無くて笑える、味も無くて呆れる。苦くないコーヒーはコーヒーじゃないと言う。間にあるもの全部全部全部全部全部そうして否定するならアンタの目に映るものはすべて路地裏の生ごみ、頭痛がして吐いた、めまいがして泣いて、次があるならグラス越しの夜風が欲しい。毛を剥がれた残り物はくゆり亡霊へと進化を遂げてる最中だというに婦人が笑う。三半規管が狂ってる。交通機関が回ってる。交通機関が一回転、交通機関が止まらない。真夜中三時にアンタの顔が浮かんだこと、足が浮いた。使えねえなってぽん、くしゃり曲げた手で側頭部を叩けば、ほら見たことか脳が出た。じゃあ、取り壊した地に名前を付けよう。どうでもいいことだって自分には宇宙がひっくり返るくらい大騒ぎなんだから。
そのやたらと調味料を入れてごまかすの、いつかクセになっても知らないから。

酔えない酒と偽の面





はははと乾いた煙が男のスーツをぐるり巻いて、一滴も涙がない事を通知していた。
・ ・ ・ ・ ・
「だから、何度も言っているじゃないか!取り壊しだよ取り壊し!」
「怒鳴らなくても聞こえるわよ、アナタみたいに耳は遠くないんだから」

釘バットにかけて誓うわ。
合言葉はベンゼントルエンキシロール。
心眼開放して涎が垂れたら、
魔法駆逐少女壱型セツナがやってくる。

兎が輪を描いて、俺は何度も空を切って
そうして自分が少しでも神に近づけるなど
夢を見ていよう きっと醒めないと分かるから



愛のない世界に吸い殻を捨てて 胸を刺す棘を抜いた
それは必要ないものだった






「憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い。
この包丁でおまえの鐙骨まで解体してあげる!
絵本を読んでたわたしを返して。
鼻の高い王子がいると言ってよ。
あの部屋にワープしてわたしを連れ出して。
もう二度とこんな思い出作らないって約束して!!」

文字通り彼は骨抜きにされて、文字通り彼女が骨までしゃぶって、ほら、愛が生まれた。なんだパーパ、嘘をついていたわけじゃあなかったのね。

『ダーリン、ウォーアイニー。』

求めたい、求めたい、求めたい、求めたい、
求めたい、求めたい、求めたい、求めたい。

月が沈んだら逃避行よ。

あなたをキャリーに詰め込んで。

愛するあの子は荷物まとめて飛んでった。
20/04/07 06:15更新 / ヨルノアサヒ



談話室

■作者メッセージ
もはや文ではないのではないか・これをどういうふうにカテゴライズしたらよいのか・さっぱりわからないものができあがってしまいました。。
詩というには長くて、小説というには短いけども・描いている心構え的には詩だったので長い感情詩ということにしました。

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