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銀色の2月に抱きすくめられた、あなたに

寒波がこの国を覆っている2月、
こんなに粉雪が、舞い飛ぶ
銀色の草原で、
私は初めてあなたに抱きすくめられていた。

それから、涙を拭ってくれ
大丈夫だからね、と
もう一度強く抱きしめてくれた。
私は、今度は、
その言葉に心から擦り寄ってしまい
生まれて初めて
《人が暖かい》と思ってしまい
だから、恥ずかしかったから、
絶対に泣きやもうと思っていたんだけど
生まれて初めていただいた
この、
光より優しく、
もう手放せない、
熱っぽい愛情のせいで、
いつまでもしゃくりあげ続けた。
いつまでたっても、泣き止むことができなかった。

そんな中、
私のケータイが鳴り出したものだから、
いそいで切ってしまい、
それでも、あなたの胸に頬をよせ、
粉雪で濡れた髪の毛のままで
ただ、《時がそこにない夜》がやって来るのを待った。

その夜がどんな夜になるのか
想像をして良かったのだろうか、私は。

ただ、ひとりっきりに戻ることに
凍える絶望を感じ
それでもひとりっきりなんだと
自覚をさせられたあとで
私はあなた無しでは生きていられなくなる
愛に身を委ねてしまうだろう
という想像、
きっと。

今夜、
そんな夜だからこそ、
泣き出したりするのだろうか、
私は。




19/03/26 05:10更新 / 花澤悠



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