ポエム
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イヨマンテ


キミがねいきをたてはじめてから
時間をおいて中央によこ綿わるすべすべの平原を優しく拓らいていった
なかの腐態とはべつに表てはあまりにも平和でおだやかだ
次亜塩素酸水のにおいのなかに
強烈な鉄の薫りただよってきてつんと鼻孔ついた
腔に詰っていた紅肌色の袋をいっぱいいっぱいつぎつぎと順繰りにひっパリだしていった
パリのこしき縁かしい町並のネガを感光するように
厳粛に 神妙に
液とともに黄金の薄ふぃるむもいっしょにとびだした
おもっていたより拡がりありビックリした
凄い凄い
『生』の迎賓館だ
    展覧会だ
きりわけてホルマリンに浸しながらひとつひとつの脾の色にもさまざまあるのをしった
あかやきいろの池沼も鳥瞰する
すべてが染色体の配列に誘導された成果だ
すごいよ キミは



『ひとのカラダに興味あるのね?』『あくまでも医学的見地からの関心なんだ』『じゃいつかこのカラダを先生にさし上げる』余命いくばくもないキミとかわした約束どおりいまがある
キミが一回だけ与えてくれたこのさいしょでさいごのチャンスをボクはムダにはしない
このイヨマンテでボクはキミのなにもかもをしり尽くす
それがキミの拙なげな恋心に酬くいるみちなのだから

今宵のキミは未知へとボクをいざなう明晰な橋




    

21/04/24 12:14更新 / OTOMEDA



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