ポエム
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金のなる木
神様が地上に残した、金のなる木。
僕の不幸はイチョウの葉とともに舞い落ち、
ひとつ、ふたつ、と
小さな幸せが充ちていく。

きっとこの世界は、出会っていない喜びで溢れている。
だからそれを、信じて待つこと。

土砂崩れのような不幸に遭って、
何もかもを失った。
ギラギラと光っていた鉄の不幸は、
今では錆びて、剥がれかけている。
それでも鼻腔に感じる、鉄の味。

都会の公園を歩くと、
それぞれがそれぞれの人生を生きている。
だあれも僕の心を、
心の歴史を知りはしない。

だけど、イチョウやポプラやプラタナスの木は
僕のすべてを知っている。
だから、この昼下がり、
僕の心は、こんなにも豊かなのだろう。

神様が地上に残した、金のなる木。
はらり、はらりと、
小さな幸せが充ちていく。
まだ出会っていない喜びを、
とんつ、とんつと、
信じて待つこと。
23/12/12 22:47更新 / たろう



談話室

■作者メッセージ
新宿の真ん中にある大きな公園で、おばあちゃんと一緒に歩いていたときの心情を詩にしました。

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