ポエム
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片恋
もしもこの片恋を知ったら、
山や太陽は、僕を笑うだろう。
絶対に叶わない恋だから、
一人でそっと、大切に抱えてる。

高速を走る、プラチナの飛蝗のなかで
布の切れ屑みたいな、
何の役にも立たない気持ちを
僕はずっとずっと、
握りしめていた。

そろそろあけぼのが訪れる
聖水みたいな薄紅の明かりが、
僕の体を洗う。
その時だけは、僕は赤ん坊の頃のように
まっさらで綺麗な体を取り戻すんだ。

女神の厚い唇を感じて、
ミントの香りのする吐息をもらしたりして。

あなたは僕にとって、瞬く間の夢。
幼い僕に必要だった、
真綿の毛布みたいな母の幻影で。

いつかお祭りで買ったわたあめのように、
実体が無いようで有る
心に溶けていく優しさ。

あなたに決して、知られてはいけない。
若葉色の淡い空気と一緒に、
そっと飲み込んで秘密にしておこう。
23/08/09 08:01更新 / たろう



談話室

■作者メッセージ
官能的な詩を作ってみました。わかる人はわかると思いますが、アルチュール・ランボーの影響を強く受けています。

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