ポエム
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生命遺跡

海ばかりに囲われた 砂の島
ときおり 風吹いて
淡い色の砂が さらりと舞い上がり
空に消えてゆく

かつて 人型の土で 賑わう島だった
きらめく意志で 輝く島だった
うまれながらの 個々の天稟が
慈しまれた 楽園だった

やがて 時間とともに
土は ならされてゆく
平坦に 平凡に みな同じ土に

そうして あれほど大切にされたものを
しずかに 失っていった
ゆるやかに 消し去っていった

仲間がひとりずつ 居なくなってゆくことに
島がだんだん広く 大きくなっていることに
だれも疑問も抱かず しずかに ゆるやかに

人型の土は みな同じ土に
みな同じ土は ただの砂に

ついには 最後のひとりも 島となった


24/01/16 18:29更新 / rin



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