ポエム
[TOP]
ピアノ(夢で見た話の備忘録)
誰も弾かないのに
なぜか置いてある
ピアノ

なぜあるか聞いても
誰も答えない

あるとき女友達が
遊びに来て

遊び心で
弾いてくれた

その曲が
なぜか懐かしくて
たまらなかった

真剣な表情で
聞き入ってしまって

それを見た友達が
「君はロマンチストだね」と言って
笑った

その言葉
誰かによく言われた言葉だ

そうだ
この曲は

亡くなった
年の離れた姉がよく弾いていた曲だ

姉はピアノが好きで
自分は
姉が弾く曲はみんな好きだったが

特に
姉が気に入って弾いていた
この曲が自分も好きになっていた

なんで
忘れていたんだろう?

自分もピアノを習いたいと
言い出す前に
姉が死んで

いつしか
姉を想起させるピアノがタブーになって
習うタイミングが失われたんだ

でも
姉の象徴であるピアノだけはあって

誰も弾かない
主を失ったピアノが
哀れに思えていた

今更
ピアノは習いたいとは思わないけれど

でも
姉が好きだったものを
いつまでも好きでいたいな

でも
だからこそ
ピアノは手放したい

姉を思い出して
悲しくなるけれど

姉の愛着のあるものを
手放すのが忍びないから
取っておいたピアノは

誰か
弾きたい人に渡った方が
幸せだ

両親は
嫌がるだろうけれど
何とか説得したい

なんで
手放したいのか

何となくだけれど
姉の象徴になっていたピアノを
自由にしてあげることで

姉が
家族からの執着や悲しみから
解放される気がするんだ

ピアノがなくなっても
大丈夫

姉と
姉の好きだったピアノが
嫌いになることはない

そう信じて
みんなを解放したいんだ

自由な心で
次にピアノを聞いたら

どんな気持ちで
聞くだろうかね
24/04/17 04:34更新 / アキ



談話室

■作者メッセージ
夢の備忘録です。
お読み下さりありがとうございます。

TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c