ポエム
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見えるのは私の影
わたしはここにただ一人残った人
みんなは先に前へ進んだ
わたしはまだここに立ち止まっている人
みんなは前へ前へと進む足を止めず生き続けている
誰一人振り向かず
みんなの背中なんて見えるはずがない
わたしの背中を見ている人もいるはずもない



わたしは足元を見た
昔の太陽の中 影だけは色褪せず
わたしの足から離れない
ここは
どこか夢心地のようで地獄のようだ
白く光っている色をした景色
たくさんの花がカラフルに走馬灯のごとく目に焼きついて
頭の中でふわりとぐるぐると生き続けている
胸の内はノスタルジアと心苦しさ
真実はいつも見えないのだ
あの時も 今この時も

暗やみの中で映える金色の線香花火
赤い赤い灼熱の玉が やみの中 深い深いところに落下した
それとともにわたしの目から生温い涙が次々と零れ落ちた
誰の優しさも効かない涙
いつの日か もらった優しさはこの瞬間に溶けだした

ただ一人 ただ一人で泣いている

ここに生きてて ここに残った私だけが見える景色

モノクロの世界

だと気づかずに。
23/10/17 17:01更新 / 霜花



談話室

■作者メッセージ
一人で泣くことの悲しさをわたしは知っています

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