ポエム
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春香
枯れ木が目を覚ます頃
彼女は旅立った
それは寂しさの香りがした

足が出ない 声も出ない
ただそこにあるだけ
木偶の坊になった僕を
風は手を振るだけ

「さようなら またいつか」
そんなフレーズを繰り返し
涙が出なかった
自分を少し憎んだ

思い出に水を遣っても
キミは育たない
それはわかってたはずなのに

「さようなら またいつか」
そんなフレーズを繰り返し
通り過ぎる声が
ただ別れを呼んだ

後悔で胸が痛むほど
自惚れたわけじゃない
だけどもう一度 もう一度
その温もりを
その優しさを

「さようなら またいつか」
そんなフレーズを繰り返し
涙が出る前に
ただ手を振るよ
「いつかまた逢おう」

枯れ木が目を覚ます頃
彼女は微笑んだ
それは春の香りがした
25/05/11 14:04更新 / ゆーるり



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