ポエム
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枯葉の数え方
ああ、寒いと
手を入れたコートのポケット
指に触れた 去年の枯葉が
かさりと音をたてる

明るい陽ざしの中 
あのこが「はい」とくれた
何枚もの美しい赤や黄色

今は 色褪せて 干からびて 
取り出せば この冷たい風に粉々に散ってゆくのだろう
蝋梅の香りに乗って
渇いた土の上に 冷えた歩道の隅に 

ポケットから手が出せないから
もう少し あったかくなるまで
ここで 静かに眠っていてもらおうか

どうしようかなと
考えている間に 待ち人は来て
そうして 僕は 枯葉のことを忘れてしまう

また かさりと音をたてるときまで
すっかり 忘れてしまう

誰の目にも触れることがない
寒風にさらされることもない
小さな暗室の 数枚の枯葉のことを
17/01/18 23:50更新 / 理柚



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