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桃色紫陽花 物語
6月の小雨降る朝に彼は心から思いました。
なんて散歩日和なのだ、最高じゃないかと。
そして彼は以前に挑戦して途中で断念した。
桃色の紫陽花までの踏破を決意しました。
彼には心に秘めた相手が居たのです。
桃色の紫陽花が凄く似合っていて、憧れていました。
桃色の紫陽花が似合う彼女に会う事だけが
桃色の紫陽花を目指す目的では、なかったけれど
彼の大きな勇気と原動力になっている事は確かだったのです。
彼の歩みは遅かったけれど確実に彼女の元へと向かっていました。
朝からの小雨の合間から気まぐれな太陽が顔を出しては
彼を苦しめましたが、6月の風は雨粒を含み彼を応援してくれました。
彼が桃色の紫陽花の茎へとたどり着いた頃には日も昇り
昼の日差しが紫陽花の桃色を輝かせていました。
日差しが苦手な彼女は家の中で次の雨雲を待って居ました。
少しずつ少しずつ歩みの後を日に輝かせながら
彼女の側に辿り付いた彼は一緒に紫陽花の葉の上で
梅雨の囁きを耳すませて家の中で待つ事にしました。
やがて降り出した雨音に顔を出す2匹のカタツムリに
桃色の紫陽花は赤みを深めては葉を揺らして
二人の出会いを祝福するかの様に優しく揺れていました。
25/06/05 07:24更新 / 憲治



談話室

■作者メッセージ
読んで頂き有難う御座います。

少し長めで物語を書いてみました。
主人公が誰かを明かさずに話しを進めて
内容の薄さを補ってみました。
難しかったけれど楽しめました。
読み手の方にも楽しんで貰えれば
幸いかとと思います。

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