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猿と蟹の秋物語
何処かで聞いた様な猿と蟹の昔話の始まり始まりです。
蟹は猿が持っている柿の種と自分が持っているおにぎりと交換しました。
蟹は柿の種を一生懸命に育て柿の実を実らせました。
実った柿の実は木の上の方に実っている為に木に登れない蟹には
柿の実を採る事が出来ずに困っていました。
そこへ猿が柿の木に登り美味しそうに柿の実を食べ始めました。
腹が立った蟹は猿に「俺の柿を勝手に食べるな」と怒鳴りました。
それを聞いた猿は平然と蟹に言いました。
「お前が育てた種が実らせた柿を食べられずに見ているから、
木に登る事の出来る俺が食べてやっているのさ」
蟹は目の前の理不尽な出来事に悔しい思いをしましたが
木に登れない蟹には、どうする事も出来ませんでした。
蟹は、仕方なく猿が口から吐き出す柿の種を集める事にしました。
そして集めた柿の種を蟹は、一生懸命に育てる事にしました。
多くの種が順調に育ち柿の実も沢山実りましたが
柿の実は木の上に実っているので蟹には採れませんでした。
また猿がやって来て木に登り柿を食べ始めました。
食べても、食べても無く成らない柿の実を見て猿は
「食べ切れない柿を腐らすのは勿体ない」と言って
蟹の居る所へ柿を抱えて降りて来ました。
蟹は猿から柿を受け取り満足そうに笑いながら
ハサミの手で器用に柿の皮を剥いて
「皮を剥いて食べる方が美味しいよ」と柿を猿に差し出しました。
皮の無い柿に感動した猿は
毎年、蟹に柿の皮を剥いて貰う為に柿の実を
蟹の所へと持ってゆく様になり、
蟹は柿の実が成る頃に家に居るだけで
柿の実を食べる事が出来る様になったのです。
めでたし、めでたし、良かったね。
25/10/19 06:27更新 / 憲治

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