ポエム
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俺ん家
時がしずんでゆく
木洩れ日の そのなかで
日に日にうつろう
しぜんの色の
鮮やかな淋しさを思う

ああ あああ
ああああ
あああ ああ
ああああああああ
あああああ あ
あああ

古墳のような 丘があり
丘のまんなかの
窪んだところに家があって
そこが俺ん家だった

生きてゆくこととは
いずれ海に帰ってゆくことだと
預言者か誰かが言った
何のことだかわからない が
格言にあるという
おそらくそれも 俺がくるわせた
夢(にせもの)の記憶に違いない

喪ってしまったものは
いまも胸中に
笑顔のままに佇んでいる が

現実とは
どこまでが 夢 なのだろう
古墳のような丘は
地震で地形が変わってしまい
今はセメントに塗りたくられた
殺風景な河川(かわ)が流れている
〈近代化〉とはどこの地方にもある
俺の家はどこにもない
俺はどこで生まれたんだろう。
21/06/03 00:46更新 / 指田悠志



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