ポエム
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春めく
地獄が生まれるのは
自分の心の中
だと分かっていても
その幻想を振り払う
のが難しいように

問いと答えの共犯関係
に気付いたとしても
次なる犯罪を食い止める
ことができないように

映画館の銀幕に映し出された物語が
願った通りの結末を迎えたとしても
神さまが願いを叶えてくれたから
ではないように

詩とかなんとか
取り留めのないことが
脳裏をよぎるのも
衣食住が足りていればこそ
に違いないように

思っても仕方のない
ことを思いながら
ふと顔を上げると

雪を纏った山脈が遠く
彼方に美しく広がって
いたりして

何の関係もないはずの
あれとこれとが
離れ難く結びついている
ように思えてならなかったり

辛く悲しいときでさえ
美しいものが見えたりして

足元の氷雪が
輝く陽光を浴びながら
少しずつ 少しずつ
嬉しそうに溶けていく

姿を現わし始めた
暗黒色の大地から
生命の気配を感じる

境界線はそれと分からないほど
入り乱れ 滲んでいるけれど
輪廻は決して留まることなく
作動し続けているみたいだ

もう期待はしないよ
どっちに転んでも
どうせ碌なことには
なりはしないだろうから

それでもまだ
重力に抗うことこそが
尊いことだと言わんばかりに
立ち上がり 歩いていく
21/03/03 08:05更新 / しそら



談話室



■作者メッセージ
未来の自分へ
輪廻は一方通行のように感じるけど、たとえお前ごときがそれを巻き戻すことができたとしても、禄なことにはならないよって言っているのが読み取れる?

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