夜はとっくに明けているから
散歩でもして来いと言われる

降り続く雨が
凍てついた大地の根雪を
少しずつ溶かしていく

見渡す限り純白だった世界が
少しずつ色褪せてゆく

100均ショップの棚に並べられた
粗末な容姿の着せ替え人形が
健気に微笑んでいる

適齢期を過ぎた
チョコレートたちが
「辞任はしない」と
特等席に居座っている

海辺の宿を襲った
十年振りの大揺れは
過去の災いと過ちを
忘れぬようにと釘を刺す

何がいいんだろ？
何が悪いんだろ？

どっちもどっちと？
どっちもどっちで
ほんとにいいの？

しょうがないさ
と悲しげに言うか

しょうがないさ
とあっけらかんと言うか

変えてどうする
変えずにどうする

変わっていくのも
あるがまま

変わらずいるのも
あるがまま

"あるがままに"も
あるがままに

あるがままに