ポエム
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狂う
「明日は喪服を着て行くの?」と母は聞く
今日は正月
明日は親戚への挨拶まわり
自然災害と
大事な家族を続けて亡くし
母は壊れ始めている

「一緒に寝ないの?」と母は聞く
昼間1人でいる寂しさに
毎日耐えているのだろう

人によっては
狂うとは眉をひそめる言葉かもしれない
しかし狂うのは
ある意味救済だと思っている

そして少し違うことを考える
自分のことを可哀想な人と言い
同情という優しさに包まれたい人は
自分が攻め続けていた親が狂う時
どんな気持ちになるのだろう
居なくなってひとりぼっちになって
全てが自分の責任で生きていく
後悔はないのだろうか
先を憂い絶望しないのだろうか

「明日は平服でいいよ」と言う私に
母はキレる
涙が出そうになりながら
私は母に尽くせることに感謝する
過去のことは流し
今の不安を隠し
ただ感謝したい
20/01/01 23:15更新 / 俚乃



談話室



■作者メッセージ
人の苦しみを我が事のように理解する事はできない
誰かを非難するほど親切でもない
母を見ながら、親と喧嘩して殺すニュースを見ながら
ふいに考えてしまうだけ

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