ポエム
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心象風景
目を閉じれば 白い浜辺
そこでは私の存在は朧気で確定しない
辺りに人影はなく 海鳥の声も聞こえない
風も立たず、凪いだ波の静かな音だけがこだまする
熱くもなければ寒くもない ただぬるま湯につかっているような感覚

ふと見ると、砂浜に鼓動を打ち輝く何かが打ち上げられている

それは水晶のごとき断片(かけら)
あれほど輝いていたはずなのに 霞んでそれが何なのかわからない
確かにそこに存在するのに 掴めない 触れることが出来ない
打ち寄せる波は容赦なく、キラキラ光る何かをまた沖へ運ぶ
私の頬を伝う涙

あの浜辺は過ぎ去った日々か、これからの物語か
私は後何度、あの輝くものたちに出逢えるだろうか
誰もみな あの心の浜辺で輝く何かに思いを馳せるのだろうか


燃えるような蝉の確かな生命力が
過去と未来のはざまから私を今へと呼び戻した。

窓を開けると 流れ続ける曇天の彼方に微かに光が射していた。
22/08/21 20:38更新 / 松宮定家



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