悩みというものは大事なこと
時にはそれは形を変えて
体中に流れる真っ赤な血に混じって
予期せぬ行為へと走らせる魔物となる

一度その血を体外へ出さなければ
体中で血管が膨張して即座に死んでしまう
だから皮膚に傷をつくって
流れ出る血液を凝固するまで
しばらく空気に晒したまま
血が蒼くなってゆくのを待っている
そして影を帯びたどす黒い痂(かさぶた)を思い
悩みで病んだ心を鎮めたい

赤い血は心の叫びだから熱い
蒼い血は心鎮まりかけた兆しだから生温かい
黒く固まる迄　落ち着かない
血の騒ぎはまだ納まらなくて
消えてしまえ　悩みなんかと
唇に指を当てて　深呼吸をする
　

■作者メッセージ
体の中に宿った悩みはそう簡単に消えてくれない。それは私たちの中に流れている血液の中に蔓延ったせいだろうか？だから自分の肌を傷つけて血を出せば嫌なものは体外から出ていってくれると本当に信じてる若者を謳った詩である。