ポエム
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乾燥標本
見せないで 私に見せないで
「もう思い出したくないの、嫌な思い出なの」
見たくない 気色悪い
「あんな醜い姿好む人なんていないわ」

清純さを身にまとえば 隙だらけの蝶は寄ってくる
あとは喰い尽くせば満足
ご馳走様は言わずにそのまま廃棄処分(ポイ)

最終的には羽ばたく直前 動けぬようにと握りつぶす
ほらもう動けんでしょう? 私なしじゃ生きらんないでしょう?

「もうこれっきり気持ちなんてありゃしない」
弱りきった蝶に甘い蜜あげながら
もう何もなかったかのように
誰かのもんになる前に上書き保存

ガヤなんてまるで蚊帳の外 ウワサになんて踊らされないで
私汚れてなんていないわ
弱さ見せるなんてらしくないよね、と

涙の1つでも流しておけば 逃げるなんて出来やしないわ
濡れて湿りきった 羽つけて何処へ飛べるというのだろう

「そうかそうか、つまり君はそういう奴だったのか」
心外よエーミール 1つ教えてあげる
飼い慣らした蝶は 一頭とは限らないわ

最終的には羽ばたく直前 動けぬようにと握りつぶす
ほらもう動けんでしょう? 私なしじゃ生きらんないでしょう?
もっと粉々に潰して
皮肉・否定なら言われ慣れているから今日も集め続けるわ
新しい乾燥標本(コレクション)
23/03/14 19:55更新 / ウール



談話室



■作者メッセージ
歌詞として書きました。
昔国語の教科書に出てきた「少年の日の思い出」の要素を少し入れて、思わせぶりな女について書きました。
よかったらご覧ください。

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