そこに一匹の「金魚」がいた。

そこに一匹専用の小さな「水槽」があった。


金魚は居心地を求め

水槽は自らを飾った。

二人はお互いが必要である。と

何度も言葉を交わしあっていた。


時が立ち気がつくと

一匹専用の水槽の中には

二匹の金魚が泳いでいた。


居場所をなくした金魚は

何を求めたらいいのだろうか。


二匹の金魚のために水槽は

何をしてあげられるだろうか。


ただ一つわかることは

二人はお互いが必要であったのではなく

金魚と水槽は「水」を必要としていた。

そして人はこの水を「恋」と呼んだ。




恋人よ

もしも私が水槽ならば

金魚のために全てを尽くします。






恋人よ

もしも私が金魚ならば

水のない小さな部屋の中で

涙を溜めて泳ぎたい。

■作者メッセージ
不倫された人はまるで金魚のようで
不倫してしまう人はまるで水槽のようで。

これからの生き方も、もう後には戻れない。