ポエム
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涙のアンブレラ
ケンカ別れをして部屋を飛び出した

外は雨
秋の夕暮れの冷たくて物悲しい雨

私の心も土砂降りで
傘を持たずに出たこと後悔している

でも戻らない もう戻れない

今戻れば私の負けの様な気がして
そんな下らないプライドでも捨てられずにいる
子供の様な自分が情けない でも変われない

行く当てなどあるはずもなくて
ただただ彷徨い歩き続ける

一つの傘の下
肩を寄せて並び行く恋人達の姿

今の私に当てつける様に街は皮肉っぽくて
少し離れていたかった
誰も来ない雨の日の公園 一人になれる
きっとそれだけが私を慰めてくれるから

木の下のダンボール
覗けば子猫が鳴いている
雨に濡れて お腹を空かせて 震えてる
今の私と同じ

けれど 帰る場所もない私には
どうしてあげることも出来なくて

唇を噛み締めて背を向ける
そんな私を呼び止める様に鳴き続ける
雨に濡れてしぼんだ子猫

私には出来ない 出来るはずもない
振り返り抱き上げるこの子は温かい

君が私を慰めてくれるの?

今まで強がって来たけれど もうその必要もない
だから泣こう 気の済むまでに声を上げて
きっとこの雨が洗い流してくれるから

ブランコに揺られ泣き続ける
野良の一匹と一人


灯り出した街灯

冷たい風

止んだ雨

止まない雨音...


振り返ると傘を手にあなたが立っている
25/05/06 09:47更新 / Xiu



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