ポエム
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イヌの恋
目を開けるとキミの腕に抱かれていた

その日からいつも一緒で

散歩したり キスしたり

「だいすき」

そう言ってくれることがただうれしかった

いつかケッコンできたらいいな


幾年月流れて今キミの傍に影

キミが離れて行く気がして

咬んでみたり 吠えてみたり気を引くと

キミはボクをきつく叱った

キミは嫁ぎ行くのだとただそう言うと

ボクを残して去って行った


「さよなら...」


いやだ いやだ

気が付くと駆け出していた

溢れる水で前が見えなくても

はっきりと覚えてるキミのニオイを辿り

この雨にも悲しみにも掻き消されることなく

思い出だけでは余りにも辛過ぎるから

思い出だけなら跡形もなく消えてしまえ

けど それもできない

だからボクは走る


ドアを叩くとそこにはキミ

ボクを招き泥だらけの体を拭いてくれた

素直にうれしいよ


キミの隣にはあの影 幸せそうなキミ

分かってる ボクはイヌ

きっとボクはキミの一番にはなれない

それでいい ホケンでいい

キミの傍にいられるなら

ボクはキミのイヌでいい
25/04/22 21:00更新 / 詩雨



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