ポエム
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咎愛 -toga-
床の上
節目を伝い伸びて行く
人肌の赤

零したミルクを戻せない様に
時の流れは戻せない

悪いのは君の方だと
自分に言い聞かせる

それでも不安を隠し切れない僕は
摘み取った花に問う

君のせい 僕のせい
君のせい 君のせい...

目の前に横たわる現実に背を向け
部屋を後にする

君から零れた雫が
僕の心を波立たせる

あの頃の僕らのままでは
いられなかったのかな?

河原で一人耽る思いは
遠き日への悔い

「君を信じてる」

どうしてその一言が
言えなかったのだろう

これは夢? それとも現実?
夢であれ ただ夢であれ

そう願い震える僕を
導く様に降り出した雨

部屋に着くとドアを開け
「ただいま」
そう言ってみる

「おかえり」
そこには
笑顔で迎える君がいる

例えばそんな幻でさえ
今は信じてみたかった

秋の夕暮れ
俄かに注ぐ冷たい悲雨

垂れる水滴がシンクを叩く
薄暗い部屋
テレビの砂嵐 雨音に重ねて

「愛してる...」

そう呟いて
静かに愛を食む
25/09/22 21:14更新 / Xiu

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