無機の花
日も射さぬ コンクリートの隙間に
影すら揺れぬ 冷たい水底に
行き先を失くした 錆びつく線路の上に
手の届かぬ 高く伸びた木の枝に
滴が響く 波打つ浴槽に
痛みだけを湛え
人知れず そっと咲く
名を呼ばれることもなく
陽にさえ看取られず
何を願って 何を遺したかさえ
ひとひら 音もなく
世界の片隅で 芽吹き
もがき そして 散った
今日もまた どこかで
一輪だけの春が 終わってゆく
影すら揺れぬ 冷たい水底に
行き先を失くした 錆びつく線路の上に
手の届かぬ 高く伸びた木の枝に
滴が響く 波打つ浴槽に
痛みだけを湛え
人知れず そっと咲く
名を呼ばれることもなく
陽にさえ看取られず
何を願って 何を遺したかさえ
ひとひら 音もなく
世界の片隅で 芽吹き
もがき そして 散った
今日もまた どこかで
一輪だけの春が 終わってゆく
25/08/13 19:03更新 / Xiu