ポエム
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卒検の日
早すぎるS字は減点を免れたか
ぼくは合格していた

中学の同窓会気分だった教習所も
今日で最後だ

先生と同級生
新しく知り合った教習所仲間とも
挨拶を交わして
帰ろうとしていた時

気にしていなかったけど
外は薄暗くなっていて
少し雪が降っていた

傘を差すまでもない
敷地から数歩

送迎バスに乗り込む前だった

「直感的な」と言おうか

気配を感じる力が働いたのかもしれない

なぜかはわからないが

教習所内にある
待合室付近の窓に一度目を向けた

間違いなく

ばっちり目が合ったその人は

また
ここでは初めて見かけた
中学の同級生

本当はもっと話してみたかった
同じクラスの女の子

卒業以来
見かけた姿は以前と変わらない品のある雰囲気で

自惚れるわけではないが
何かを語りかけるような目だった

ぼくがそうだったからなのか

以前
部活動の途中
頬を赤らめながら手を振ってくれた日のように

手を振り合ったかどうかは記憶がない

何も考えられなかったぼくは
会話をしようという意思すら追いつかないうちに
送迎バスに乗り込んで

席についた

2秒後には
目が合った瞬間が焼き付いていて

今度はしばらく

目を離せずにいた
24/11/11 22:43更新 / hinoki no bou



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