ポエム
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雪山の呼び声
雪山に身を潜める。

散っていった仲間の声が聞こえる気がする。

小さなエールを受けて鎌を握り締めた。

岩陰から奴の元を目指す。

「×××?」

名前を呼ぶ声。

「こっちおいでよ」

甘ったるくて、イライラする。

ギリッと睨みつけるとまた名前を呼ぶ。

あんたのその声は、一種の媚薬なんだよ。

何度も何度も名前を呼んではこっちへこいと誘導する。

その"こっち"は言わば現世の淵だ。

姿が見えて鎌をおいてショットガンを撃つ。

なんで撃つのさ……と甘さの中に狂気を隠した声。

玉が当たって雪の上に倒れ込んだ。

目の前に声の持ち主が立つ。

血溜まりから体を起こす気力はもうない。

やっと来てくれた

そんな言葉に脳が考えるのをやめろと訴える。

血溜まりに体が沈む。

ね、楽になろう?

あいつの声が頭元に歩み寄る。

とろりと微睡む。

なんで戦ってたんだっけ

こんなにも暖かいのに。


20/09/02 15:54更新 / 露風



談話室



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