青林檎にくちづけを
好きってなんなんだろう
誰かの声か
アラームか
うるさい音で目が覚めた
遠い世界の
羊と一緒に寝転ぶあたしにさようなら
お昼のチャイムを背に受けて
あたしは教室を飛び出した
こころに広がる
スマホのボリュームをちょっと上げて
リズムに乗って屋上へ
すれ違いざま通り過ぎてく
先輩の笑顔がいつもあたしを狂わせる
呪いにかかったように
胸の音が体を揺らして
袖で顔に蓋をして少し長めのため息と
綻ぶ気持ちが溢れ出す
今日ってこんなに暑かったっけ
火照った頬をぶんぶん仰いで
ぱたんと後ろに倒れ込む
魔法にかかったみたいに
不機嫌だったあたしの顔がにやけて
弾けてぶすになる
これがあたしの好きなんだ
あたしを忘れた頃のあたしが
戻りたくなるような
この空気が大好きで
いまのあたしの方が幸せかもだよ
ねぇ、聞いてる?
なあんてね
誰もいない空に指をさして笑うんだ
青りんごにくちづけを