ポエム
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息の檻
 直美が溜息を、ふと、ついた。隣の席に座っている男子生徒が、溜息をつくなんて品がないと、罵った。直美にとって、溜息は、メンタルを整えるための手段。といっても、たいていの人は、溜息に酷い嫌悪感を覚えるようで、どうも攻撃と映るらしい。その感覚がよくわからない。
 直美が、何も言わないでいると、その男子生徒は、勢いづいたのか、直美の机を蹴った。最近、いろんなハラスメントあるなと思う。溜息はフキハラといった。でも、なんだろう。こうやって、一つずつ、ハラスメントやら、禁止事項を増やすと、息苦しくならないだろうか?

 中学生の時、直美が学校に行けなくなったのは、このハラスメントの多さのせいだった。ロジハラと、言われた時、ロジックで話すのをやめた。エモハラと言われた時、感情を込めて、話すのをやめた。そうしている内に、意思を自分で決定することも出来なくなった。
 ロジックも、エモーションも、溜息すらも駄目、でも、平然としているではないか。机を蹴ることは。
25/10/27 23:53更新 / 作家さん

■作者メッセージ
物語風の、詩かな?

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