てのひらものがたり
遠く近く揺れる青が欲しくて
波間に手を差し入れた
けれど指からは雫が落ちるばかりで
白く光るシリウスが欲しくて
夜空に手を伸ばした
けれど指先は空を掻くばかりで
開いた掌の中はいつだって
何も 何も無かった
それでも覚えている
触れた海はくすぐったくて
肌を撫でる風が冷たかったこと
いつだって世界のかけらは
掌から零れ落ちていくけれど
それでも覚えている
掌にほんの少しだけ残った 私だけの世界を
波間に手を差し入れた
けれど指からは雫が落ちるばかりで
白く光るシリウスが欲しくて
夜空に手を伸ばした
けれど指先は空を掻くばかりで
開いた掌の中はいつだって
何も 何も無かった
それでも覚えている
触れた海はくすぐったくて
肌を撫でる風が冷たかったこと
いつだって世界のかけらは
掌から零れ落ちていくけれど
それでも覚えている
掌にほんの少しだけ残った 私だけの世界を