ポエム
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物悲しさの標本
世界が青黒く見える夕方に
下からつめたい水が迫ってくるのを感じながら
そういうときにこそ詩を書きたいと思う

物悲しさを何かの溶剤の中に入れます
そうして数時間後、見事にかたまった物悲しさをトングで取り出し
物悲しさの大きさに適したピンと箱を探します
きっとそれは部屋の片隅にひっそりと眠る、木製の棚の中にあるでしょう
見つかったら物悲しさを慎重に箱に収め
(この瞬間がいちばんドキドキします)
ピンでさします
これで物悲しさの標本の完成です

私がやりたいのは、そういう作業
22/05/15 18:39更新 / 野瀬透子



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