握拳食歯　〜〜看金輝流星〜〜　　　（我想東京五輪）　城崎　トモ

空染茜陽昇　　　空が茜に染まり陽が昇り
秋津島夏来　　　秋津島に夏が来た
到来五輪夏　　　五輪の夏が到来す

聖火彼点火　　　聖火が点火される
走者研澄心　　　走者は心を研ぎ澄ませ
踊者廻夢中　　　踊者は夢中で廻り
泳者蹴無心　　　泳者は無心で蹴り
跳者舞空中　　　跳者は空中を舞う

歓声響天空　　　歓声が天空にこだまする
興奮包会場　　　興奮が会場を包み
競技者静息　　　競技者は息を静める
握拳食縛歯　　　拳を握り歯を食い縛れ
深々而集気　　　深々として気を集め
堂々而躍動　　　堂々として躍動す
我観不乱心　　　我心乱さずに観る

両年前地騒　　　両年前地が騒ぎ
人恐了蝙毒　　　人は蝙蝠毒を恐れた
人揺留孤間　　　人は揺れ孤間に留まった
豈久耐忍哉　　　あに久しく耐え忍ばや

嗚呼競技者　　　ああ競技者よ
於走踊泳跳　　　走踊泳跳にて
様隼舞空地　　　隼が空地を舞う様に
様豹駆大地　　　豹が大地を駆ける様に
様鯨泳水地　　　鯨が水地を泳ぐように
成空而為無　　　空と成りて無と為す
姿向輝三牌　　　輝く三牌に向かう姿は
彼観者感動　　　観る者を感動させる
響魂叫現夢　　　魂の叫びが響き夢が現れる　

嗚呼競技者　　　ああ競技者よ
給見上高空　　　高い空を見上げ給え
看金輝流星　　　金に輝く流星を看るだろう

■作者メッセージ
五輪が無観客になり、お蔵入りさせようとも考えましたが、この詩はアスリートのメッセージと思い直し、投稿させていただきました。