ポエム
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夕暮れとんぼ
死が孤独に例えられるなら、
人は孤独に向かって歩いているともいえる

年を重ねるごとに友人は少なく
もはや声を交わすのも夕暮れに鳴くカラスぐらいなもの

咳。
口から生命の色をした液体が流れ落ちた。
私はまだ、生きていた。

ゆらゆらとんぼ。
風に吹かれ、稲穂になびき。
気まぐれに上昇してはどこへ行くのだろう

伸ばした指先に、ほんのちくりと着地。
その複眼には何がうつっている。
自分は君しか見えない。
君はいろいろな世界が見えていた。
それが違いで、分岐点だったのだろう。

さよなら。
今度は優しく言えた。
ここに横たわるのは、希望でも執着でもなくて。
ただ風に吹かれて揺れている稲穂。そのうえを飛ぶとんぼの影。
夕闇に消えていく。
22/06/22 14:58更新 / 雲の音



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