夕暮れとんぼ
死が孤独に例えられるなら、
人は孤独に向かって歩いているともいえる
年を重ねるごとに友人は少なく
もはや声を交わすのも夕暮れに鳴くカラスぐらいなもの
咳。
口から生命の色をした液体が流れ落ちた。
私はまだ、生きていた。
ゆらゆらとんぼ。
風に吹かれ、稲穂になびき。
気まぐれに上昇してはどこへ行くのだろう
伸ばした指先に、ほんのちくりと着地。
その複眼には何がうつっている。
自分は君しか見えない。
君はいろいろな世界が見えていた。
それが違いで、分岐点だったのだろう。
さよなら。
今度は優しく言えた。
ここに横たわるのは、希望でも執着でもなくて。
ただ風に吹かれて揺れている稲穂。そのうえを飛ぶとんぼの影。
夕闇に消えていく。
人は孤独に向かって歩いているともいえる
年を重ねるごとに友人は少なく
もはや声を交わすのも夕暮れに鳴くカラスぐらいなもの
咳。
口から生命の色をした液体が流れ落ちた。
私はまだ、生きていた。
ゆらゆらとんぼ。
風に吹かれ、稲穂になびき。
気まぐれに上昇してはどこへ行くのだろう
伸ばした指先に、ほんのちくりと着地。
その複眼には何がうつっている。
自分は君しか見えない。
君はいろいろな世界が見えていた。
それが違いで、分岐点だったのだろう。
さよなら。
今度は優しく言えた。
ここに横たわるのは、希望でも執着でもなくて。
ただ風に吹かれて揺れている稲穂。そのうえを飛ぶとんぼの影。
夕闇に消えていく。