飛んでいく蝶
深い、深い竹藪に、一輪の花が咲いた。
深い、深い霧の中、呼吸も苦しかった。
花は短命で、神様の小さな気まぐれですぐに枯れてしまう。
花はその自らの性質を、誰よりもよくわかっていた。
だから諦めるのが上手かった。
深い、深い藪に潜り込んだ、一匹の蝶がいた。
深い、深い霧の中、誰も助けるものはいない。
蝶はたった一つ、
閑雅に咲いている花を見つけ、雄しべに停まった。
蝶が飛び立ち、
ひらり、ひらりと空気に落書きする。
蝶は竹藪の中から出る術を知らない。
しかし蝶は、幸せだった。
一生分の幸せを得た。
だから蝶は、それで良かった。
深い、深い霧の中、呼吸も苦しかった。
花は短命で、神様の小さな気まぐれですぐに枯れてしまう。
花はその自らの性質を、誰よりもよくわかっていた。
だから諦めるのが上手かった。
深い、深い藪に潜り込んだ、一匹の蝶がいた。
深い、深い霧の中、誰も助けるものはいない。
蝶はたった一つ、
閑雅に咲いている花を見つけ、雄しべに停まった。
蝶が飛び立ち、
ひらり、ひらりと空気に落書きする。
蝶は竹藪の中から出る術を知らない。
しかし蝶は、幸せだった。
一生分の幸せを得た。
だから蝶は、それで良かった。
24/10/19 14:25更新 / たろう