飛んでいく蝶
深い、深い竹藪に、一輪の花が咲いた。
深い、深い霧の中、呼吸も苦しかった。
花は短命で、神様の小さな気まぐれですぐに枯れてしまう。
花はその自らの性質を、誰よりもよくわかっていた。
だから諦めるのが上手かった。
深い、深い藪に潜り込んだ、一匹の蝶がいた。
深い、深い霧の中、誰も助けるものはいない。
蝶はたった一つ、
閑雅に咲いている花を見つけ、雄しべに停まった。
蝶が飛び立ち、
ひらり、ひらりと空気に落書きする。
蝶は竹藪の中から出る術を知らない。
しかし蝶は、幸せだった。
一生分の幸せを得た。
だから蝶は、それで良かった。
深い、深い霧の中、呼吸も苦しかった。
花は短命で、神様の小さな気まぐれですぐに枯れてしまう。
花はその自らの性質を、誰よりもよくわかっていた。
だから諦めるのが上手かった。
深い、深い藪に潜り込んだ、一匹の蝶がいた。
深い、深い霧の中、誰も助けるものはいない。
蝶はたった一つ、
閑雅に咲いている花を見つけ、雄しべに停まった。
蝶が飛び立ち、
ひらり、ひらりと空気に落書きする。
蝶は竹藪の中から出る術を知らない。
しかし蝶は、幸せだった。
一生分の幸せを得た。
だから蝶は、それで良かった。