ポエム
[TOP]
飛んでいく蝶
深い、深い竹藪に、一輪の花が咲いた。
深い、深い霧の中、呼吸も苦しかった。
花は短命で、神様の小さな気まぐれですぐに枯れてしまう。
花はその自らの性質を、誰よりもよくわかっていた。
だから諦めるのが上手かった。

深い、深い藪に潜り込んだ、一匹の蝶がいた。
深い、深い霧の中、誰も助けるものはいない。
蝶はたった一つ、
閑雅に咲いている花を見つけ、雄しべに停まった。
蝶が飛び立ち、
ひらり、ひらりと空気に落書きする。

蝶は竹藪の中から出る術を知らない。
しかし蝶は、幸せだった。
一生分の幸せを得た。
だから蝶は、それで良かった。
24/10/19 14:25更新 / たろう



談話室



■作者メッセージ
恋は儚く、時に無情です。しかし、あなたとの恋で得た幸せは、一生僕の中で生き続けます。だから、本当にありがとう、そう伝えます。

TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c