ポエム
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あなたを想い返して
高速道路の高架橋が瞬きをして
海月色の涙をぽつり零した
不幸で乾燥しきった空気
ここではないどこかへ
ただ、ただ――
それだけが願い。

右へ左へやってきては去る、車
右へ行く者は幸せへ
左へ行く者は不幸へ
もし未来の振り分けがなされているなら
僕はここから、どちらへ向かうのか?

あなたと出逢えた、
生涯にたった一つの仕合せ
葡萄酒のお風呂に浸るような
生という営みの転換点
けれど今僕は、不幸に立ち戻り
自らを、世界の誰より憎んでいる

風が頬を撫でる
残忍に僕を置き去りにして

高架橋の下に萌えそめる草木をゆりかごに
山鳩やムクドリが穏やかに遊んでいる
僕の心にふるえる望郷――

鳥たちのさえずりが、僕の恐ろしい過去を愛撫した
あの声――赤いマフラーのような声に聴こえる
24/10/14 00:02更新 / たろう



談話室



■作者メッセージ
あなたと離れ離れになってしまったことは悲しいことだけれど、あなたの声を今でも思い出せることは幸せで。

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