過去になっていく
海の底に沈んだガンガゼが怖くて、
僕は長いこと、海に入ることができませんでした。
友達は浅瀬で水を掛け合って、
太陽の雫のように輝いているのに。
そうこうしている間に、ガンガゼがどんどん増えていって、
海の底いっぱいに広がっているような気がして、
ついに僕は、海に入ることを諦めてしまいました。
海水の母のような呼び声や、
海面をなぞって飛んでいく鳥たちの優しさも感じていたのに。
幼い頃は、気にせずに海で遊んで、ボラやハギと戯れて遊んでいた僕。
ある時、つまり、ガンガゼの棘が足に突き刺さった時から、海に入れなくなりました。
どんどんヤツが太っていって、棘が伸びていくような気がして、
否、実際にそれは現実でした。
しかし今では、ガンガゼのほうが人間に怯えて、棘を隠すようになりました。
それは、浅瀬で無邪気に遊ぶ僕の友達たちが、
知らず知らずの間に、ガンガゼを脅かしたからです。
ドンバタドンバタと大きな音を鳴らして、
お前なんか怖くないぞと、石という石を、
さながら打楽器を叩くように、踏みしめていったのでした。
ガンガゼの脅威から逃れた僕は、
長い冬眠から目覚めた生き物たちのように、
海水の温もりを肌に感じ、
鳥たちのおかえりの言葉を蝸牛殻に響かせ、
がっちりと大きくなった体で、ボラやハギと一緒に、
伸びた手足を思いきり広げ、泳いだのでした。
僕は長いこと、海に入ることができませんでした。
友達は浅瀬で水を掛け合って、
太陽の雫のように輝いているのに。
そうこうしている間に、ガンガゼがどんどん増えていって、
海の底いっぱいに広がっているような気がして、
ついに僕は、海に入ることを諦めてしまいました。
海水の母のような呼び声や、
海面をなぞって飛んでいく鳥たちの優しさも感じていたのに。
幼い頃は、気にせずに海で遊んで、ボラやハギと戯れて遊んでいた僕。
ある時、つまり、ガンガゼの棘が足に突き刺さった時から、海に入れなくなりました。
どんどんヤツが太っていって、棘が伸びていくような気がして、
否、実際にそれは現実でした。
しかし今では、ガンガゼのほうが人間に怯えて、棘を隠すようになりました。
それは、浅瀬で無邪気に遊ぶ僕の友達たちが、
知らず知らずの間に、ガンガゼを脅かしたからです。
ドンバタドンバタと大きな音を鳴らして、
お前なんか怖くないぞと、石という石を、
さながら打楽器を叩くように、踏みしめていったのでした。
ガンガゼの脅威から逃れた僕は、
長い冬眠から目覚めた生き物たちのように、
海水の温もりを肌に感じ、
鳥たちのおかえりの言葉を蝸牛殻に響かせ、
がっちりと大きくなった体で、ボラやハギと一緒に、
伸びた手足を思いきり広げ、泳いだのでした。