ポエム
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でんしんばしら
ほめられもせず、
くにもされず
そういう者に、私はなりたい。
――宮沢賢治



僕はでんしんばしらに成った
みんなに邪魔者扱いされ
夕暮れ時には子どもに怖がられる

僕は生きているのが嫌だ
こんな自分が誰より嫌いだ
ねずみ色した服は
地球にあてがわれた、冷たい冷たい氷の布

けれどあなたはどう生きただろう
みんなに感謝されず
働くのが当然のように思われて
それでもあなたはみんなを助けた

僕だって目的をもって生きている
でんしんばしらに成ってしまったこと
それは不幸なことだろうか
その問いかけには、答えなどない

けれども僕はあなたのように 
あなたのように成りたいと思う
その気持ちだけは嘘ではないと
嘘とはいえない本当のこと

僕はでんしんばしらに成った
今日もみんなに電気を届ける
誰も感謝などする者はいない
街並みに溶けて忘れ去られた
24/03/30 13:24更新 / たろう



談話室



■作者メッセージ
宮沢賢治さんは、献身的に人の役に立とうと尽力されたものの、理解を得られず苦しんだ人です。それでも自分の信念を曲げずに生きられました。
他方で、僕には憧れの先輩がいます。彼も賢治さんと同じように、周りに感謝されなくても、利他的に行動する人です。
この詩には、僕の憧れの気持ちが要素付けされています。

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