月は視ている
月は照らした。
僕が死体を、土に埋めるのを。
青白い視線が空を突き抜け。
真っ赤な涙で濡れる僕の手。
月は視ていた。
僕が子犬を、ボグボグ殺すのを。
子犬は大きくしっぽを振って、
僕の臑へと、頬を寄せてきた。
僕は子犬を向こうへ蹴飛ばし、
一心不乱に殴りなぐった。
月は知ってる。
僕が子犬を愛していたのを。
だのに、殺してしまったのを。
月は決して。
決して僕を、許さない。
子犬の命は、決して。
決して命は、生き返らない。
月は視ている。
僕が今夜も、ご飯を食べるのを。
僕が今夜も、眠りにつくのを。
僕が今夜も、優しい夢を、
夢を観ながら、微かに笑うのを。
月は知ってる。
僕に殺された、あの日の夜に
彼女が僕に、寄せていた思慕を。
あの眼差しが、真実だったのを。
僕が死体を、土に埋めるのを。
青白い視線が空を突き抜け。
真っ赤な涙で濡れる僕の手。
月は視ていた。
僕が子犬を、ボグボグ殺すのを。
子犬は大きくしっぽを振って、
僕の臑へと、頬を寄せてきた。
僕は子犬を向こうへ蹴飛ばし、
一心不乱に殴りなぐった。
月は知ってる。
僕が子犬を愛していたのを。
だのに、殺してしまったのを。
月は決して。
決して僕を、許さない。
子犬の命は、決して。
決して命は、生き返らない。
月は視ている。
僕が今夜も、ご飯を食べるのを。
僕が今夜も、眠りにつくのを。
僕が今夜も、優しい夢を、
夢を観ながら、微かに笑うのを。
月は知ってる。
僕に殺された、あの日の夜に
彼女が僕に、寄せていた思慕を。
あの眼差しが、真実だったのを。