虫・修正版
頭蓋骨の中の水餃子を食べていた虫は、
いつからかいなくなりました。
なぜいなくなったのか、
僕にもまるで検討がつかないのですが、
虫は確かにいなくなったのです。
僕と虫との戦いは、
熾烈を極めるものでした。
なぜかって、
虫が右を向けといえば右を向き、
左を向けといえば左を向かなければならなかったからです。
マリアの死や、大東亜戦争の悲鳴だって目にしました。
僕はついに、過呼吸になって倒れました。
そのとき、とても幸せな夢を見ました。
そこにはお母さんがいて、僕の体にはまだ、虫が棲みついていませんでした。
ところが目を覚ますと、現実は氷柱のようです。
虫は、目を覚ました僕に、僕がもっとも見たくないものを見せてきました。
それは、あなたの火に焼かれる姿です。
業火のなか、あなたは叫びました、僕の名前を。
僕が犯人だと、あなたは叫んだのです。
僕は今でも、その声を忘れることができません。
火に焼かれ、真っ黒になったあなたは、最後に消えました。緑色の炎となって。
紅炎は消えたのに、エメラルドのその炎だけは、今でも小さくパチパチ燃えています。
どうやったって忘れることのできないのは、あなたの顔に張り付いていた、あの能面です。
いつからかいなくなりました。
なぜいなくなったのか、
僕にもまるで検討がつかないのですが、
虫は確かにいなくなったのです。
僕と虫との戦いは、
熾烈を極めるものでした。
なぜかって、
虫が右を向けといえば右を向き、
左を向けといえば左を向かなければならなかったからです。
マリアの死や、大東亜戦争の悲鳴だって目にしました。
僕はついに、過呼吸になって倒れました。
そのとき、とても幸せな夢を見ました。
そこにはお母さんがいて、僕の体にはまだ、虫が棲みついていませんでした。
ところが目を覚ますと、現実は氷柱のようです。
虫は、目を覚ました僕に、僕がもっとも見たくないものを見せてきました。
それは、あなたの火に焼かれる姿です。
業火のなか、あなたは叫びました、僕の名前を。
僕が犯人だと、あなたは叫んだのです。
僕は今でも、その声を忘れることができません。
火に焼かれ、真っ黒になったあなたは、最後に消えました。緑色の炎となって。
紅炎は消えたのに、エメラルドのその炎だけは、今でも小さくパチパチ燃えています。
どうやったって忘れることのできないのは、あなたの顔に張り付いていた、あの能面です。