膿
心がしろい膿を出す。
じゅくじゅくと燃える腫れた患部を、
ナイフで切って、
悪いものを除く。
その繰り返しの中に、
僕は真っ赤な幻影をみた。
笑っているようにも、
怒っているようにもみえる、
牙を突き出した死神の顔。
そいつと目があった僕は、
恐れ慄き、
しかし、
不思議と心が鎮静した。
僕をあの世へ、
誘ってくれる。
僕の頭を激しく殴る、
金槌のような怒りを、
あの無のなかへ、
投げ込んでくれる。
そいつは、
壁のなかに棲む精霊なんかより、
よっぽど僕の、
理解者だった。
床下を流れる、夏の血脈。
自分の鼓動と、重なるリズム。
この忌まわしい騒音を止められるのは、
この、
ナイフだけ。
じゅくじゅくと燃える腫れた患部を、
ナイフで切って、
悪いものを除く。
その繰り返しの中に、
僕は真っ赤な幻影をみた。
笑っているようにも、
怒っているようにもみえる、
牙を突き出した死神の顔。
そいつと目があった僕は、
恐れ慄き、
しかし、
不思議と心が鎮静した。
僕をあの世へ、
誘ってくれる。
僕の頭を激しく殴る、
金槌のような怒りを、
あの無のなかへ、
投げ込んでくれる。
そいつは、
壁のなかに棲む精霊なんかより、
よっぽど僕の、
理解者だった。
床下を流れる、夏の血脈。
自分の鼓動と、重なるリズム。
この忌まわしい騒音を止められるのは、
この、
ナイフだけ。