ポエム
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ひとり
みんなが私を追い越していく
陽が沈むなか肩を並べて
ともに帰路を行く君の背中が
いまはなぜだかとても遠くに

鞄に付いたみどりの怪獣
静かな路に響く君の声
オレンジに染まったその横顔も
いまはなぜだか崩れて消えてく

朝日が登って夕日が沈む
月が登って朝霧が掛かる
私は一日動けないまま
太陽と月が追いかけあった

開け放った窓にそよ風が吹く
冷たい朝の湿った空気が
私の鼻に入っては消える
あの頃の私も現れは消え

虚ろな朝に下を向きながら
少し早足で学校へ行く
花壇のビオラ 雀の鳴き声
遠くで揺れる白い情景

教室へ入れば高い笑い声
君のグレーのキュロットが揺れる
冗談を言ってふざけ合う男子
けれど私はもうそこにいない

みんなが私を追い越していく
みんなの笑顔が私を嘲る
海の底から沸々と湧いた
嫉妬の泡が弾けて鳴った

どうか私を憐れまないで
可哀想などと同情しないで
どうか私を蔑まないで 
眩しい笑顔で見下さないで

神様どうか私を助けて
私をひとり置いていかないで
23/03/27 12:50更新 / たろう



談話室



■作者メッセージ
この詩は、僕の中学生の頃の心情を描写した詩です。
僕だけが置き去りにされる恐怖。
この詩を読んで、何か伝わってくるものがあれば何よりです。

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