ポエム
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檸檬風


檸檬が眠っている
そう伝えると
Leの発音が上手すぎて
たくさん笑った
水辺にある満員電車の名残り
その色と形
黄色い皮の中に
幾筋の風が吹いている
わたしの皮膚は汗ばんで
湿っているから
もう夏も終わるのかなと思う
檸檬の隣には
立派な街がある
人や物が動いている
歩道橋が撤去されたあとには
同じ形の空がはめ込まれていて
他のと見分けがつかないくらいに
まぶしい
制服姿の男子が疾走する
わたしもあんなふうに
速く走れたら良かったのに
鍵をかけ忘れた冷蔵庫の野菜室や
暦に記した束の間
手慣れた所作でゆっくりと
毎日の物事を終える
会いたい人がいる
檸檬の風に吹かれて眠っている
不確かに参列する

23/09/19 07:06更新 / たけだたもつ



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