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夏風邪
てんとう虫畑の朝露に
濡れながら
もうすこしできる話が
あったような気がした
痩せ細った夏草の礼儀正しさ
わたしはすっかり
風邪をひいてしまった
少しずつでも構わない
そう思っていたのに
ビーカーの水溶液などにも
寿命があると知った
滑らかなプリンの質感
けれどそれは澄んだガラス製で
口に入る頃には
わたしのものなど
何ひとつとして無かった
わたし一人を残して
誰も乗っていない満員電車が
海岸線に沿って走る
囁きのように音が
薄く消えていく音
23/08/12 06:49更新 /
たけだたもつ
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