「 」に言葉を入れてみろ
「うみ」
と書けば
白い波が寄せて返し
「そら」
と書けば
どこもでも青く
「もり」
と書けば
木々が香り
「とり」
と書けば
それは翼をもって飛びまわり
「まち」
と書けば
ああ、いろんな人が歩いているね
「いえ」
と書けば
小さなあかりが灯り
家族の笑い声がし
「かなしい」
と書けば
涙が止まらず
「あい」
と書けば
君がいつも側にいる
そんな魔法の「 」があったなら
僕はもう
詩なんて書かなくてすむのに
※
「 」は言葉を入れるところです
お風呂と間違えて裸で入ろうとしないでください
ゴミを捨てようとしないでください
カレーを作ろうとしないでください、鍋ではありませんよ
穴は決して空けないでくださいね
言葉が全部流れ出してしまいますから
※
ある日、泥棒がこっそりお金持ちの金庫から
「 」を盗み出しました
どんな財宝が入っているのか
わくわくしながら覗いたのですが
中に入っていたのは
「○▲*◎◇」
腰を抜かして動けないところを
警察に捕まっちゃったそうです
ちゃんちゃら可笑しいや
※
「よる」
が来て
「そら」
には大きな
「つき」
と煌く
「ほし」
あなたはどんな夢が見たいですか
「 」に入れてみましょう
僕は
「かいぞくせんにすみつくねずみになりたい」