お花見
部屋の中に桜が咲いて
僕ら三人は
お花見をすることにした
見上げるだけでも
綺麗なのだけれど
せっかくだから、と
レジャーシートをひいて
君が作ったお弁当を食べた
それからちょっぴりお酒を飲んで
娘は普段は飲めないジュースを
心ゆくまで堪能した
そしてシートの上に寝転び
そのまま三人で寝落ちした
手を繋ぐことが
こんなにも温かいのだと
じんわりと心に届く
目が覚めると
桜の木はどこにも見つからない
君も娘も
最初からいなかったように
部屋には誰もいない
僕の体があるのかどうかさえ
もうよくわからない
桜の花びらだけが
数枚床に落ちている
確かに桜は
この部屋で咲いていたのだ