初詣
久しぶりに三人で手を繋ぐ
いつもより寒い冬
汗をかいた小さな掌は
どことなく妻に似ていた
歳を聞けば指で
三つや五つを作っていたのに
今では両手の指すべてを使わなければならない
もちろんそんな仕草をすることなく
普通に十歳と答える
年月が経つ、ということには
そういうことまでもが含まれている
縁起をかつぐのが好きな妻が
僕と娘に五円を渡す
恐らくこの日のために取っておいたそれには
昨年の年号が刻印されていて
落ち着かないくらいに光っていた
手を合わせる僕らの背中の方から
他の人たちの声が聞こえる
世界の平和、なんて
どうして願ってしまったのだろう