折鶴
ふと、わたしは紙になる
紙になったわたしを
見知らぬ女性がか細い指で折る
骨も関節も内臓もない身体を折ることは
とても簡単なことらしい
女性は几帳面に折り目をつけ
やがてわたしは一羽の折鶴になる
折鶴
鶴という名前がつくのに
空も飛べない
願いをかけられると
ベッドに寝たままの男性の側に置かれる
動くことすらできない自分に
願い事を叶えられるはずもない
せめて見守ることくらいしかできないのに
自分の目がどこにあるのかも
もうわからない
本当の悲しみなんて知らないけれど
悲しみのようなものなら知っている気がする
それならば一生を終えるまで
自らに問い続ける
その悲しみのようなものが
自分の満足のためだけなのではないか、と