帰宅
休耕田に群生する
セイタカアワダチソウをかきわけるように
一両の気動車が港の方へと走っていく
スズメガの幼虫にかじられた痕のある
サトイモの大きな葉が
その風に揺れている
排水機場の角を曲がり
傾斜の緩い坂道を上る
左手に関東ロームの台地が広がっている
しばらく歩くとぽつぽつ民家が見え始め
やがて先には新興の住宅地がある
珍しくもない黒いスレート屋根の家
その前のアスファルトに
建物の解体現場から拾ってきた
白い棒状のもので
小鳥を描いた
むかし広告の裏にあなたが
描き方を教えてくれた
種類の曖昧な
飛べそうもない小鳥
どうかあなた
それを目印に
小さな骨壷に入っても
迷うことなく帰って来られますように